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環境問題に係る仕事・資格とは?将来は環境保全に取り組みたい!

環境問題に係る仕事・資格とは?将来は環境保全に取り組みたい!

「環境問題に関係する仕事や資格っていったいどんなものがあるの?地球環境を守る仕事をしたいんだ!」と、お子さんから質問されて、うまく答えられるでしょうか?

環境問題が叫ばれるようになってかなりの年月が経ちます。しかし最近では、マイクロプラスチック問題、SDGs、カーボンニュートラルなどの、環境問題やそれに関係する新しい用語も。環境問題について詳しく解説できる人は少ないかもしれません。お子さんから「環境問題に詳しいね!」と言われるためにも、環境問題の再確認やそれに係る仕事・資格について理解することが大切です。

今回は、私たちを取り巻く環境問題について再確認しつつ、環境問題の解決に関われる仕事や資格について紹介していきます。

私たちを取り巻く環境問題

地球のイメージ画像

 

私たちが愛する地球。人々の努力によって解決されてきた環境問題もありますが、以前より複雑化したのも事実です。ここでは、私たちを取り巻く五つの環境問題について解説します。

地球温暖化

地球温暖化は、地球の気温が上昇し気象災害や海面上昇などをひきおこす環境問題です。私たちの生活にとって、エアコンやガスコンロ、給湯器の使用は欠かせません。また、毎日の生活で、マイカーやバス、電車に乗っています。それらを動かすためには、電気やガス、ガソリンなどが必要で、使うことで二酸化炭素がどんどん発生します。そして、地球の二酸化炭素を中心とした温室効果ガスが増え続けることで、地球の温度が上昇するのです。

 

「気温の上昇って問題なの?」と思うかもしれません。気温の上昇によって偏西風やジェット気流などの大きな空気の流れが変わり、気象災害をおこしやすくします。また、海面の上昇によって標高の低い地域や島が水没し住めなくなってしまいます。

海洋汚染

海洋汚染は、地球の表面の約70%を占める海が汚染される環境問題です。海洋汚染と言えば瀬戸内海や東京湾などの内海・内湾での富栄養化による赤潮・青潮や、石油タンカー事故による石油の流出をイメージする方が多いかもしれません。一昔前だと、四大公害病の一つの水俣病も、水俣湾のメチル水銀による海洋汚染でした。

 

ただ最近では、新たな海洋汚染が注目を浴びています。それがマイクロプラスチックによる海洋汚染。5mm未満の微細なプラスチックごみが、海洋生態系へ悪影響を及ぼしているのです。プラスチックは買い物袋やストローなど、私たちの生活には欠かせない物質。スーパーやコンビニでのレジ袋有料化も記憶に新しいことでしょう。様々な対策によって海洋汚染を防いでいかなければなりません

水質汚染

水質汚染は、地下水や河川、湖沼などの水質が汚染される環境問題です。水質汚染が進むと私たちは飲料や料理などで使う水道水を使えなくなってしまいます。水道水は地下水やダムに流入する河川水などを利用していますが、その水源が汚染されるだけで水質全体が汚染されてしまうのです。化学物質による地下水汚染や水源林の汚染は他人事ではありません。

 

また、河川の水は水道水としてだけではなく、私たちの憩いの空間を提供してくれています。その河川の水が汚れると川遊びなどもできなくなるでしょう。私たちは地下水や河川などを水質汚染から守らなければならないのです。

大気汚染

大気汚染は、空気が微小粒子状物質や窒素酸化物・硫黄酸化物など化学物質によって汚染される環境問題です。自動車の走行や工場の稼働は私たちの生活に必要不可欠なものですが、そこから排出される排ガスや、ばい煙などによって空気が汚染されているのも事実。窒素酸化物や揮発性有機化合物による大気汚染は光化学スモッグの原因です。

 

また、ユーラシア大陸から日本国内に越境する酸性雨や黄砂は、日本国内では解決できない大気汚染。つまり、大気汚染は昔の環境問題ではなく、現在も進行している環境問題なのです。

森林破壊

森林破壊は、世界の森林が減少し続ける環境問題です。世界の森林の面積は約40億haで陸地の約31%ですが、2010年から2020年にかけて毎年平均約470万ha減少しています。森林の破壊は地球温暖化や生物多様性の問題とも関係していて、早急に解決しなければなりません。地域別では南アメリカやアフリカなどの熱帯林の減少面積が大きくなっています。

 

日本は陸地の約70%が森林である森林大国です。しかし、人工林が多く間伐といった手入れができていないという実態も。さらに、日本が木材の輸入大国という一面があることを忘れてはなりません。世界の森林破壊を解決するためにも、日本国内の人工林の活用というバランスの取れた対策が必要です。


環境問題に取り組む企業が増えている理由

CSRのイメージ

 

近年では、環境問題に熱心に取り組む企業が増えてきました。企業は自然資源を使って色々な物質を環境中に排出しながら経済活動を行っています。その経済活動が与えるダメージを環境が受けきれない状況として表れたのが環境問題。古くは足尾銅山公害事件、昭和時代では四大公害病があります。

 

それらの環境問題を受けて制定されたのが環境基本法です。環境基本法第8条では、企業の責務として環境問題の防止や自然環境の保全、廃棄物の適切な処理などが定められています。企業は法的義務として環境問題に取り組む必要があります。

 

さらに、近年における企業の環境問題への取り組みは、法的義務から社会を構成する一員としての企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)へ移ったとの考えも。CSR活動に熱心な企業は、社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)も受けられやすくなりました。環境問題への取り組みは、単なる企業のイメージ戦略にとどまらず、財政活動へ影響を与え得るようになってきたのです。


環境問題に携わる仕事

環境問題に関わる仕事のイメージ

 

ここまで身近な環境問題や企業が環境問題に取り組む背景・理由について解説してきました。企業が環境問題に取り組んでいるということは、環境問題に携わる仕事が存在するということ。

 

ここでは、環境問題に携わる仕事を五つ解説します。理系だけではなく文系の知識・スキルを活かせる仕事についても紹介しています。

環境コンサルタント

環境コンサルタントは、行政や企業の環境問題の解決をアドバイスする環境問題のスペシャリストです。

 

環境コンサルティング会社やシンクタンクなどに勤務し、行政や企業の環境問題についての解決策を提案。環境コンサルタントはデスクワークだけではなく、大気や水質の調査や、動植物の調査、工場から排出されるばい煙の調査なども行います。

 

また自然科学的なアプローチだけでなく、ISO14001の認証取得に代表されるような環境マネジメントシステムの構築支援といった、経営的側面からのアプローチも必要とされる仕事です。

環境団体職員

環境団体職員は、自然環境保護活動や環境普及活動、自然体験施設の運営などを行う職種です。

 

NGOやNPOなどに所属し仕事をすることが一般的。活動内容は環境団体によって色々で、野鳥保護を中心に行っている団体もあれば、環境系企業の業界団体として企業支援を行っている団体もあります。環境団体の中には広大なサンクチュアリ(自然保護地域)を所有し、自然保護を行っている団体もあるほどです。

 

「環境を守りたい!」という熱い思いがあるなら、きっと自分が理想とする活動を行っている環境団体に出会えるでしょう。

インタープリター

インタープリターは、自然環境教育や自然体験活動などを行っている自然解説のスペシャリストです。

 

企業や環境団体に所属し、プログラムを通じて自然環境の素晴らしさを伝えています。都会から離れた大自然だけではなく、大規模な公園で活動をしているインタープリターもいることが特徴。 自然環境の知識は当然必要ですが、一般の方にわかりやすく伝える必要があるため、表現力やデザインなどのスキルも求められる仕事です。

 

「自然が大好き!」というお子さんにはピッタリな仕事かもしれませんね。

レンジャー

レンジャーは、植物や動物を守る自然保護のスペシャリストです。

 

「レンジャーは外国にいるけど日本にはいない」というイメージを持たれがちですが、環境省や東京都などに採用され、日本各地で自然保護活動をしているレンジャーがいます。山や海などの大自然が主な仕事場なので体力が必要とされる仕事です。

 

大自然のなかでの仕事でとてもやりがいはありますが、期間が定められた形での雇用であり正規雇用ではないのが日本のレンジャーの実態。ただ、自然保護の重要性がさらに高まることが予想され、今後は正規雇用でのレンジャーも増えてくるでしょう。

 

「自然環境を守る仕事をしたい!」というお子さんにはピッタリです。

研究者

研究者は、専門分野における研究専門職です。環境問題の研究者は自然科学だけではなく、環境経済学や環境法学、環境社会学など、環境問題関連の社会科学の分野でも活躍しています。「環境≠文系」と考えている方にとっては意外かもしれません。

 

最近では、環境問題を社会科学の視点から専門的に学ぶ地球環境法学科や国際環境経済学科などの学科、「環境」を冠した理系の学部も増えてきました。そして、環境問題の関連学部・学科で、研究や学生への指導をするのが環境問題の研究者です。教育機関のほかには民間の研究所の研究者もいます。

 

環境問題についてとことん研究したいと思っているお子さんへ、研究者という進路もあることを教えてあげましょう。

環境問題に関係する資格

テキストを使って勉強する

 

環境問題に携わる仕事について解説しましたが、それらの仕事に就くためにはどのような資格が必要なのでしょうか。最後は環境問題に関係する資格について解説します。

技術士

技術士は、科学技術の専門知識と豊富な実務経験が必要な国家資格です。技術士は21部門に分かれ、ほぼすべての科学分野をカバーしています。

 

そのうち環境問題に関係するのは、環境部門や森林部門、農業部門、建設部門などです。環境コンサルタントとして活躍するためには、環境問題に関係する部門の技術士の取得は必要不可欠。

 

ただ、技術士試験は一次と二次に分かれていて、二次試験を受験するためには一次試験合格後に技術者としての定められた期間の実務経験が必要。難しさだけではなく実務経験も求められる資格試験ですが、技術士の有資格者は環境コンサルタント会社から引く手あまたで転職に有利です。

環境計量士

環境計量士は、水や大気などがどれくらい汚れているかを調べる環境計量(環境分析)の専門知識・技術が必要な国家資格です。

 

環境計量の結果を証明する計量証明書の発行には環境計量士の押印が必要。そのため、環境計量士の有資格者は、環境計量事業を行っている企業にとって必要不可欠な人材です。環境計量士国家試験は濃度関係と騒音・振動関係の2部門に分かれています。

 

試験では環境関連の法律のほか、濃度関係は化学、騒音・振動関係は物理の知識が求められます。環境に興味があり化学や物理が得意なお子さんにはおすすめの資格です。

ビオトープ管理士

ビオトープ管理士は、生物の生息・生育環境を作る知識や技術が必要な資格です。

 

ビオトープを「公園にある池とその周辺の水生環境」と思っている方が多いかもしれません。しかし、ビオトープの本来の意味は、生物の生息・生育する地域をさし、限られた場所というよりは地域に広がる広大な自然環境という空間的な概念です。そのため、ビオトープの知識は公園造成だけではなく、街づくりや地域計画などには欠かせません。

 

ビオトープ管理士資格試験は公益財団法人日本生態系協会が実施していて、資格制度は計画部門・施工部門の2部門、1級・2級の2階級に分かれています。

生物分類技能検定

生物分類技能検定は、生物の分類の知識や技術が必要な資格です。

 

「生物の分類とは?」と思う方が多いかもしれません。「生物の分類」を誤解を恐れずに言うと、「この植物はイロハモミジ」「あの鳥はゴイサギ」と生物の名称を言い当てること。生物分類技能検定の知識・技術は動植物調査に活かせるため、環境コンサルタントとして活躍している方が多くいます。

 

生物分類技能検定は一般財団法人自然環境研究センターが実施していて、資格制度は動物部門・植物部門・水圏生物部門の3部門、1〜4級の4階級に分かれています。

森林インストラクター

森林インストラクターは、森林・林業の知識や森林内での野外活動の指導技術が必要な資格です。森林内や野外で活動するインタープリター・レンジャーを目指す方や、森林ボランティアとして活動している方におすすめの資格と言えます。

 

一次試験は筆記、二次試験は面接と実技です。実技試験の内容は森林インストラクターとしての模擬演技。試験勉強で学んだことが、インタープリターやレンジャーとして活動するときにきっと活かせるでしょう。

 

なお、森林インストラクター資格試験は、一般社団法人全国森林レクリエーション協会が実施しています。

まとめ

両手を挙げる子供たち

 

小さな子どもにとって、自分だけの力で見聞を広めることは困難な一方で、大人に見せてもらったもの、聞かせてもらったものは大きな刺激になります。親から与えられた知識は「就きたい仕事」のキッカケになりやすいでしょう。

 

環境問題に係る資格を取得し仕事に就けば、環境保全を仕事にできます。いろいろな仕事や資格があるため、きっとお子さんの興味にあった仕事が見つかるはず。

 

お子さんが興味を持った分野があったら親子で一緒に学び、お子さんの取り組みをサポートできる環境づくりをしていくことが大切です。

 

\小学生から楽しめる環境クイズ/


 

(参考1)環境省|令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書

(参考2)環境省|こども環境白書

(参考3)EARTH NOTE|水質汚染とは?現状と私たちにできることを初心者向けに徹底解説

(参考4)NHK | 枯れ葉剤の原料 漏れ出す懸念も 負の遺産をどうする?

(参考5)環境省|世界の森林の現状

(参考6)キャリアガーデン|環境コンサルタントの仕事

(参考7)日本野鳥の会

(参考8)Greenfield| 【人と自然を結びつける】インタープリターってどんな仕事?資格はあるの?

(参考9)環境省|レンジャー(自然保護官)

(参考10)東京都環境局|都レンジャー

(参考11)環境省|アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)の募集について

(参考12)上智大学|地球環境法学科

(参考13)獨協大学|国際環境経済学科

(参考14)日本技術士会|技術士Professional Engineerとは

(参考15)日本技術士会|技術士になるには

(参考16)日本環境測定分析教協会|資格取得

(参考17)経済産業省|計量士関係

(参考18)日本生態系協会|ビオトープ管理士 こども環境管理士

(参考19)自然環境研究センター|生物分類技能検定

(参考20)全国森林レクリエーション協会|資格試験の概要

ライター

瀧澤伸夫(たきざわのぶお)

ライター。東京都在住。執筆分野は主に環境問題・アウトドア・福祉。
獨協大学経済学部経済学科卒業
環境コンサルティング会社で営業職・経理職、建設コンサルティング会社で技術職などに従事した経験がある。

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